イチゴの萎黄病(いおう病)対策事例1
病害に悩むイチゴ農家を訪ねました。
この写真、なんの病気か分りますか?
イチゴを栽培されていらっしゃる方は、わかるかもしれません。
そう、萎黄病(いおう病)です。
イチゴ栽培の方が、多く苦しんでいる病気の一つが、萎黄病(いおう病)ではないでしょうか。
うどんこ病や炭疽病とならび、イチゴの主要病害の一つです。
萎黄病(イオウ病)は、病原菌が5年にわたり土壌に生存する生命力の強い病気です。
とくに低pHの土壌や、未熟有機物の多い土壌では発生が多いとされています。
高設水耕栽培における問題点とは
佐賀県の唐津という地域でイチゴ栽培をされていらっしゃるNさんは、比較的土壌病害の出にくい、水耕栽培をされていらっしゃる方です。ところが、ここ数年、萎黄病に悩んでおられました。
写真は、この年も萎黄病(いおう病)がでて、引き抜いてしまった様子です。かわいそうですね。。。
Nさんは、これまでも色々な資材を使って萎黄病(いおう病)が改善できないか試してきました。
でも、どれもダメ。。。
水耕栽培では経費の関係がありますから、どうしても数年単位で培地を使い続けることとなります。
水耕栽培農家の悩みはそこです。培地が少ないために、一般に行われるような土壌改良ができません。
また、一度病害菌が住みついたら、農薬でもなかなか滅菌させることが難しいのです。
まずは土壌改善。菌力アップを導入
そこでNさん、サンビオティック農業資材の微生物資材、菌力アップが良いと聞き、菌力アップで土壌の改善ができないか、藁にもすがる思いで試してみることとしました。
農協の方から、おなじ佐賀県内で萎黄病を克服した農家さんの話を聞いていましたから、わずかな希望を持つことができました。といっても、特別に経費や手間がかかるわけではありません。
やり方は簡単です。菌力アップを、週に一度流すだけ。
定植から2ヵ月ほどたったころ、Nさんから連絡がありましたので、早速畑をお伺いしました。
萎黄病克服のイチゴハウスに入ってみると、そこにはいたって普通のイチゴが順調に生育しています。
「あ、これは順調ですね。」そういうと
「そう、萎黄病はゼロです」と、とても嬉しそうです。
「実はね、去年までは3割も4割も、今の時期に枯れよったんですよ。」
これには、驚きました。4割も枯れるということは、圃場全体に病気は回っているはずです。
枯れていない株も、本来の生育とはいかないでしょう。きっと収量は、採算ラインの半分以下だったに違いありません。それに、そういう状態であれば、通常は翌年にもっとひどくなることが多いです。
それが、菌力アップを導入しただけで病気がゼロになったというのは、大変な驚きです。
株をよくみると、元気のよい新芽がどんどんと展開しており、葉にも光沢があります。
おっと!これこれ、ありました!葉露です。葉先に、真珠のように輝く水玉がしっかりと着いています。
これこそ、しっかりと根が動いている証拠です。そして、待望の花も上がってきました。
この調子なら、去年の2倍は、収穫量もあがるのではないか。そんな予感に、ほっと安心した表情を見せるNさん。
まだまだ、気を抜かずにがんばれば、もっと上を目指せます!
微生物の働きで萎黄病対策
限られたスペース(培地)のなかで、必死に働くイチゴを応援する。微生物の仕事は偉大です。
こういった微生物の働きを見ていると、バランスを整えるということが、いかに大切なことか、気づかされます。
これからのイチゴ栽培は、萎黄病対策なくしては継続できません。
イチゴの萎黄病(イオウ病)にお困りの方は、ぜひお試しくださいね。
※追記※
これまでの経験では、培地の中でもロックウールややし殼のみの培地では、あまり効果が見えないように思います。
微生物の繁殖が難しいためと思います。ピートモスや良質な有機物が培地に含まれていると、微生物にとっても良いようです。