フロー剤(クロルピクリン)による土壌消毒後の徒長防止
トマトやイチゴをおつくりの方で、クロルピクリンフロー剤、いわゆるクロピクフローをお使いの方もいらっしゃるかもしれません。
この薬剤の使用に当たっては、初期窒素が効きすぎるというデメリットがあります。
そこで皆さんにも、その対策についての考え方をご紹介しておきます。
たとえばトマトの場合、苗の時期に徒長気味に生長してしまうと、なかなかリカバリーが難しいものです。
葉ばかりが茂り、整枝が追いつかなくなったり、収量があがらないという事になります。
苗の時期に徒長気味に生長してしまうと、なかなかリカバリーが難しいですね。
クロピクフローにはこのように、初期窒素が効いてしまうという現象があります。
これは、「乾土効果」という現象と同じ仕組みで起こります。
乾土効果というのは、田んぼで粗おこしをして土をしっかり乾かしてから水を入れると、地力窒素が発現する現象です。
これは乾燥によって、土壌の中の微生物が死んでしまい、その死骸がいわゆる即効性の有機肥料となります。
これが水をやった時、急速に効果を発現してしまうため起こる現象です。
※通常、畑地には微生物生体がもつ窒素が20kg/10a以上もあると言われています。
これが一気に効いてくると、徒長するのもうなずけます。
クロピクフローでの土壌消毒では、微生物が死んでしまうため、同じ現象が起こるわけですね。
このことから、クロピクフロー剤での消毒をされる場合は、元肥窒素を少なめにし、炭素率の高い(25〜40程度の)有機物を、多めに施用しておくと良いのです。
また、リン酸やカルシウム、マグネシウムなども、やや多めの設計が良いです。
そして、下記の対策を実施し徒長を防ぎます。
クロピクフローでの土壌消毒後(定植前)
菌力アップ5L(200倍) + 純正木酢液2L(500倍希釈) を一回潅水
※10aの使用量です。
定植後
菌力アップ5L(200倍) + 純正木酢液2L(500倍希釈) を週に1回潅水
※4ー5回潅水すると徒長抑制、病虫害抑制となり、大変良いです。
また、徒長を防ぐため、糖力アップは開花・着果後から使用するようにします。
糖力アップには、窒素が5%含まれております。
このほとんどは有機窒素であり、たんぱく質やアミノ酸が主です。有機窒素は、化学窒素よりもやや吸収率が悪いため遅効きな感じとなりますが、窒素肥料としての力は化学窒素よりも強力なものです。
糖力アップには、窒素のほか黒砂糖や海藻エキスなど徒長を防ぐものも配合されていますので安心です。
ただし多すぎるのも良くありませんので、10a/5kgを目安に使用します。
なお、上記の方法は、クロピクフローの場合でなくとも、化学肥料主体で窒素多めに元肥を施用し徒長した場合も、同様の対処で徒長や病害虫を抑制できます。
以上、ぜひご参考にしてください。