きゅうりのネコブセンチュウは怖くない。薬剤土壌消毒なしでも。
キュウリの大敵ネコブセンチュウに悩んでいた
鹿児島県阿久根市でキュウリを育てるKさん夫妻。
なんとお二人で35aもの面積をこなす、元気いっぱいの農家さんです。Kさんは、3年前にサンビオティックを知り、導入してこられました。
キュウリの大敵といえば、ネコブセンチュウ。ネコブセンチュウとは、文字通り根に瘤(こぶ)ができてしまう寄生性の微小生物(線虫)の被害です。「根こぶ線虫」とも書きます。
それは、目に見えるか見えないかという小さな生き物で、ミミズのような形をしていて、くねくねと水に乗って動き回っており、とがった口先で根に食害を加えたり、穴をあけて住みつき、卵を産み付けて、大増殖してしまう、本当に困った生き物です。
Kさんも、そのネコブセンチュウの発生に、毎年悩まされていた一人でした。
「3年前、菌力アップを知ってからは、安心して栽培できるようになりましたよ。」とKさんは、おっしゃいます。
キュウリのネコブセンチュウは、作付け前に土壌消毒(太陽熱消毒)や薬剤処理(ネマトリンエースやクロールピクリンなど)を必ずしておかなければなりませんが、栽培が始まってから被害が出た場合は、対処の方法が無い、というのが実情です。
菌力アップでネコブセンチュウ害が見事に回復!
ところがKさん、3年前に菌力アップを知り、試してみたところ、ネコブセンチュウ害が広がって萎れていたのが、みごとに回復したのです!この奇跡のような出来事で、Kさんはサンビオティックを信頼するようになりました。
「これは、今までの資材と違う。」そう実感されたといいます。
その後、数年の圃場試験で、菌力アップを継続的に5L/10aずつ潅水すれば、ネコブセンチュウはもう怖くないと判断したMさんは、今年は驚くべきチャレンジを始めています。
なんと毎年行っていた土壌消毒(DD)を辞めてしまったのです!下の写真は、土壌消毒をせずに作付けにチャレンジした圃場です。
まさに、素晴らしい生育というほかありません。
ここまで生長していても、ネコブセンチュウの形跡はまったくありません。それどころか、葉は生き生きと輝き、花は次々と上がってきています。
ネコブセンチュウを抑える技術。裏作がアレでもしっかり育つコツ!
そして、Kさんは驚くことをおっしゃいました。
「実はね、この畑はね、キュウリの裏にオクラを作ってるんですよ。」
なんと、この圃場、キュウリの裏作は、なんとオクラだというのです!
キュウリとオクラの連作といえば、どちらもネコブセンチュウが大好きな作物です。
普通なら、ネコブセンチュウがわんさか大活躍してしまう条件です。
その条件なら、誰に聞いても、土壌消毒をしなければ、育てることは困難です、と答えることでしょう。
「一作一作、しっかり菌力アップをやって土づくりすれば、仮にセンチュウはいても、被害はそんなに出ないんですよ。」とKさん。
土壌の微生物相がネコブセンチュウを抑える
まさに、土壌の生物相を整えてやると、植物はしっかり育つものだということを体現した畑です。
確かに、にっくきネコブセンチュウといえども、しょせん生き物です。
弱肉強食と自然の摂理の中で生きているにすぎません。
ネコブセンチュウやネグサレセンチュウなどの寄生性センチュウは、生態系が豊かな土壌では繁殖しづらいのです。
たとえば、菌力アップに含まれている「放線菌」は、このような寄生性センチュウに対して拮抗性を持っているといわれており、また放線菌以外にも、彼らと敵対関係にある(善良な)自活性センチュウ、と言われるセンチュウなども、土壌中の生物多様性が豊かになると増えてきて、ネコブセンチュウの働きを抑制してくれるのです。
Kさんは、菌力アップ5L/10aを、週に一回は必ず潅水し、微生物相を維持することが重要といいます。
土壌消毒をしてませんから、ネコブセンチュウはきっといるに違いありませんが、土壌の微生物相が豊かであれば、センチュウ被害というのは出ないものなのですね。
お陰でキュウリは、まさに花盛り。わずかのスペースに、所狭しとキュウリが成り込んでいます。
これが本当の鈴成りというのでしょうか。(矢印のところにキュウリが成っています)
今では、Kさんのキュウリは、市場でも最高評価。変動の激しいキュウリの世界で、品質、出荷量も安定しているので、Kさんは市場で最も信用があると言われているそうです。
土づくりこそが、農業経営の要だと教えてくれる素晴らしい事例です。
農産物のおいしさと安全は、本当に土づくりからですね。
※本記事は、サンビオティック農業通信第25-0212号記事を加筆修正したものです。