このままじゃ線虫で枯れる!菌力アップで危機を脱出!
キュウリ生産者Kさんの圃場で起きたことをご紹介します。Kさんは、キュウリの栽培に関してはまさにプロです。経験も長く、さすがベテランと言う感じで、栽培管理に関しても非常に詳しく経験も豊富です。
そんなKさんの圃場、ある時から急におかしくなりました。
急に実が留まらんごとなった。
それまで順調に生育していたのです。ところが、ある時から急に調子がおかしくなったといいます。
「急に実が留まらんしなったって思うた。」
これは、いつもと違うと察知したKさん。地上部には、病気や害虫などありません。しかしどうも元気がありません。
試しに株元を見てみると、普段はあまり出ないはずのネコブセンチュウが、株元の根に激しいコブを作っていました。
しかも、恐ろしいことに、日が経つごとに、隣の株、また隣の株と、どんどん広がってくるではないですか。
「いかん、このままじゃ一列べらっとやらるっばい!」
Kさんはそう危機感を口にされました。ベテランだからこそ、問題にすぐに気づき、そしてすぐに対応する必要性を常に感じていたんですね。
残暑が長引いた年に、線虫が動き続けた
「Kさん、線虫が問題になったことって今まで少ない感じしてましたけど、なにかいつもと違うことあったんですか?」と聞いてみました。たとえば土壌消毒がうまくいかなかったとか、新しい堆肥を使い始めたとか、そういったことが引き金になるケースは多いので、あえて聞いてみたのです。
「いや、いつもと変わらんとさ。でも、やっぱ気温やろうなぁ。今年はいつまでもぬっかった(暑かった)けんね。」
なるほど、いつもと違っていたのは気温だったのですね。確かに今年の残暑は、例年になく厳しいものでした。気温が2℃違えば、やはり地温も2℃近く違っていてもおかしくありません。ネコブセンチュウも、地温が高いほど世代交代が早くなります。残暑が長く続いたことで、線虫がいつまでも活動しやすい環境が続いた、ということでしょう。普段はあまり被害の出ない圃場で急に出てきたのは、そのあたりが効いていたのかもしれません。
あくまで推測ですが。
線虫剤は使わず、菌力アップで菌相を変える
「なんかやらんばって思うたとけどさ、もう収穫期間やけん農薬はやりとうなかって思うて。」
いろいろな対策を考えた結果、Kさんが選んだのは菌力アップでした。
殺線虫剤は使いたくなかったのです。
そのためには、菌力アップが土の中でしっかり働いてもらう環境を作ることが大切と考えました。そこでまず、微生物の繁殖を目的として、手元に持っていた有機肥料を撒きました。菌のエサを先に入れてから、菌を入れる。この順番です。
そのうえで菌力アップを潅水。同時に、全体的な生育強化のために本気Caとタスケルプ!も一緒に潅水し、コーソゴールドは葉面散布しました。
今回の施用方法
潅水(週2回 × 2週間)
- 菌力アップ 10L / 10a
- 本気Ca 2kg / 10a
- タスケルプ! 200g / 10a
上記を1,000L程度の水に希釈して潅水(菌力アップは100倍希釈にあたります)。
葉面散布
- コーソゴールド 500倍希釈
ひと月後、見違えるほど活力の戻ったキュウリ
1ヶ月後、ハウスを訪ねてみると、そこには見違えるほど活力のあるキュウリが育っていました!これは凄い回復力です!
皆さんもぜひじっくりご覧ください。これは劇的ビフォー・アフターです。
いかがですか?同じ場所を菌力アップ等を施用して、3週間後に撮影した写真です。みごとに回復していますね!
「おお!良かったみたいですね!」と私が言うと、
「うんさ、どーも効いだたる。」「ほら、新芽が動き出して葉が増えたもんね。花つきも良うなったし、実もしっかり着くようになったけんさ。よかったばい!」
と、手応えあった!という表情をされました。
ねこぶ線虫(センチュウ)被害から回復の理由
しっかりと回復し、草勢を取り戻してくれたのは本当に良かったともいます。キュウリは比較的反応の早い作物なので、3~4週間で結果が見えたというのは、そんなに珍しいことではないですね。
一般的には、センチュウ被害から作物が回復するというのは、かなり珍しいというか、なかなかないことだと思います。通常は、どんどん枯れていく、というのが一般的でしょう。
しかし、微生物の力と植物のが回復力が合わさると、このように回復することがあると言うのは事実なんですよね。
このようなことを書くと、エビデンスはあるのかとか、科学的なメカニズムを説明してほしいとか言われますが、正直なところ、はっきりしたメカニズムは分かっていません。科学的な研究対象として菌力アップ等を施用している分けではないですし、使用前、使用後の土壌や植物を科学的に分析しているわけではありませんから。
しかし、やっぱり環境が変わることの大切さなのだと思っています。
実際に、以前の大学や研究機関との産学連携研究では、菌力アップが線虫を殺すとか、減らすような作用は確認できませんでした。実際に、殺してしまうことはないと思っています。しかし、土壌の環境が変わり、微生物の数、そして種類が増え、多種多様な微生物が見られるようになり、豊かな生態系を回復したことが見られました。つまり、土壌の環境が変わったのです。
菌力アップは土壌改良資材ですから、センチュウに対する作用ではなく、環境を変える作用があるということであると理解しています。それにより、植物も本来の発根力を発揮し、センチュウ被害を上回る回復力、成長力を発揮してくれるようになるのではないでしょうか。おそらくそれが、合理的な理解です。
菌力アップやマジカル、タスケルプ!などを施用しても、すでにできたネコブが消えることはありません。またネコブセンチュウがすぐに死滅するわけでもありません。それでも株が持ち直したということは、傷んだ根を上回る勢いで新しい根が出て、吸収力を取り戻したということだと思うのです。有機肥料と菌力アップで根圏の微生物のバランスが変わり、線虫にとって居心地の悪い方向に傾いた、という面もあるかもしれません。
もうひとつ、この圃場ならではの事情もありました。Kさんのこの圃場は、元肥ゼロです。
元肥を入れていないぶん、潅水で入れたものが素直に効きます。裏を返せば、根が傷んだときに株が受けるダメージも大きい。だからこそ、微生物と液肥で根から立て直すやり方が噛み合ったのだろうと思います。
高温対策はまず、土壌改良、土作りから。
今回の事例のように、近年の気象条件では、病害虫が今まで出にくかった圃場でも、油断ができません。病害虫の活動が活発になり、反対に植物は弱っているからです。
だからこそ、土壌改良、土作りがこれまで以上に大切になっていると言えますね。菌力アップでしっかりと土作りを行い、また液肥で体力強化していくメリットが大きくなってきたなあと感じます。
もちろん、上記の事例はKさんの圃場で起きたことであって、同じようにやれば誰の圃場でも同じ結果になる、という話ではありません。しかし土作りの重要性、そして植物が快適に生育できる環境を作り、適切な肥料を与えていくことの重要性は、今後の共通する対応策だと思います。
皆さんもぜひこのような事例をご参考にして頂き、暑さ対策、残暑対策、ストレス対策に生かして頂ければと思います。
※本ブログは、サンビオティック通信第37-0201号の記事を一部改変したものです。










