生姜(ショウガ)菌力アップで連作障害を乗り越えろ!
連作障害対策で熱い!熊本県のショウガ生産者のグループをご紹介します。
ショウガと言えば、連作を嫌う代表選手と言えるほど、連作が難しい作物です。熊本県は、ショウガの生産量全国2位を誇る地域ですが、やはり例に漏れず、連作障害に頭を抱えている現状です。
その熊本県で、いまサンビオティックによる連作障害対策に取り組んでいる生産者グループがあります。
きっかけは、約3年前。グループの一人であるKさんが、菌力アップを使用してみたところ、これまでにない生育に驚きました。
「この菌力アップというのは、不思議かね・・・。いつもならもっと病気が出ても、おかしくなかとに。」
菌力アップの効果に気づいたKさんが、友人に勧めたところ、その友人も成果に驚きました。
成果というのは、病気がとても少なくなっただけではありません。
圃場の一部に、生活排水が流れ込んで、根茎腐敗病を発症してしまった場所に、菌力アップを何度か潅水してみたところ、通常なら水の通り道に沿ってどんどん広がっていくところが、まったく広がらなかったのです!
「確かに、今までの菌と違うごたるですね。仲間と一緒に取り組んでみたかとですけど、一度教えに来てもらえませんか?」
サンビオティックに確信を得たKさんは、私たちに相談してこられました。
Kさんの熱意を感じ、私たちは、早速お伺いして勉強会を開催しました。グループの仲間には、若手農家さんも多く、非常に熱心な議論となりました。
「ショウガは、種の消毒、土壌の消毒はもちろん大切ですが、消毒後に、しっかり有用微生物を増やしておくことが大事なんですよ。そうしなければ、無菌状態の畑では、もしも病気が出たときに、蔓延して壊滅状態になってしまいます。最初に菌力10Lが、ポイントですよ。」
この生産者グループは、もともとバチルス菌や嫌気性菌などに取り組んでいました。
そのため、サンビオティックの考え方や使い方を、すぐに理解され、積極的に試そう!ということになりました。
そして、下の写真が、その年の6月下旬の状況です。
通常なら梅雨時期の高温多湿で病気が出る時期ですが、ご覧の通り病気の気配はありません。
それだけではなく、茎がしっかりと立ちとても良い状態です。
そしてさらに1ヵ月経ち、下の写真は、7月19日のハウスショウガの写真です。
ここは、サンビオティックをより積極的に導入し、菌力アップ、有機百倍、鈴成などを使用した圃場です。
背丈は、優に160cmを超え、人の背丈を越えようとするほどの勢いです。
通常、このように背丈が伸びると、いわゆるつるボケ状態、徒長してショウガが入っていないのではないかと思われます。ところが、この畑は違います!
ご覧の通り、しっかり根(ショウガ)が入っているのです!Kさんは、まだ7月というのにせっせと収穫していました。
「この畑は生育の良かけん、もう、どんどん掘りよるですよ。周りの農家はまだ出てないみたいですから、ものすごい高値ですよ。はっはっは。」
この時期に、なんと反収は6tを超えるというのですから、素晴らしい生育です。
「もう少し置いとけば8tはいきそうですけどね、いま高いですから出荷しますよ。」
土づくりがうまくいくと、ショウガはこんなにも素晴らしい生育をするのだと、改めて実感しました。
そして、露地のショウガも素晴らしいのです。下の写真が露地の写真です。
農機具との比較を見てわかる通り、こちらも160cmを越える勢いで、素晴らしい生育です。
茎は人差し指ほどの、しっかりとした強い茎が何本も立ち上がり、葉は生き生きと風になびいています。
葉の枚数、茎の太さと本数、全体の色のトーン、どれをとっても申し分ありません。
生命力みなぎる、とはこういう状態をいうのでしょうか。
この株を見ると、精一杯背を伸ばし、収穫前の最後までしっかりと光合成をして、ショウガに栄養分を送っていたことが伝わってきます。植物の生命力には、本当に脱帽です。
この生命力から、ショウガは万病を治すとして、様々な漢方薬にも利用されてきたのかもしれません。逆に言うと、薬に使われるほどの作物だからこそ、しっかりとした地力、土づくりが必要なのでしょう。
水はけのよい、それでいて水持ちと肥料持ちの良い、そして病原菌の少ない土壌を作るためには、やはり、繁殖力が強い優良な微生物相が大切です。
Kさんはいいます。
「やっぱり菌力はいいですね。今年は、根茎腐敗病はほとんど出らんやったですよ。お陰で、ハウスも、露地も信じられんような反収ですよ。」
Kさんは、畑に堆肥や腐熟した藁などの有機物をたっぷり入れて微生物のエサとし、菌力アップで病害の予防と土壌の団粒化を図りました。元肥には、有機百倍と鈴成をマニュアル通り施用しています。
露地の畑では、収穫してみるとどれも2キロオーバーのショウガばかり。反当4000株以上植えてあります。
「露地は、8tから良いところは10tありますね。この地域では、普通5tくらいですから、うちの収量を言っても、みんな信じてくれませんよ。」とKさん。
グループで最もベテランの生産者に聞くと、「おかげで病気は出とらんよ。今までいろいろ勉強したし、試してきたけんね。この資材の良さが、分かるよ。」とお褒めの言葉をいただきました。
土づくりを通して、生産者が技術交流し、そして産地を盛り上げていく。
とても素晴らしい研究会に参加させていただき、とても有難い取り組みとなりました。
※本記事は、サンビオティック農業通信第24-0720号、第25-0212号記事を加筆修正したものです。