ハウス太陽熱消毒の実例!土づくりで8割決まる
回復力がすごい!サンビオティックで遅れ挽回!
農業では、土づくり、苗づくりなど、作付け前の仕事が、生育の8割を決めるともいいます。今回は、その土づくりの中でも、太陽熱消毒の事例をご紹介します。
太陽熱消毒は、正確には「太陽熱土壌消毒法」や「太陽熱養生処理」、最近では農研機構から提案されている「陽熱プラス」とも言われていますね。いずれも、太陽エネルギーが盛んな、梅雨明け〜夏の時期を利用して、太陽熱と、微生物による発酵熱を利用した、土壌殺菌の技術です。
Mさんがサンビオティックを知ったのは、以前ご紹介したYさんのご紹介です。今年の3月ごろ、例年よりも暖かい気候と、萎黄病やダニなど、いろいろな生育不良が重なって、過去最も悪いという非常に厳しい状態でした。
春先のこれから、という時期に、非常に幸先の悪い状態です。
ご本人曰く「あの時は、ボロボロでしたよ。」という状況だったのです。
ところが、先述のYさんにサンビオティックを勧められたMさんは、早速、菌力アップ、糖力アップ、コーソゴールドの潅水を始めたところ、見る見るうちに樹勢が回復し始めました。
やはり、土づくりの重要性でしょう。植物は、肥料と日照だけで育っているわけではないのですね。
微生物による発根促進と、アミノ酸態窒素の供給、植物酵素やリン・カリのバランスがうまくいった結果、一気にイチゴが成りだし、最終的にはシーズン通した成績は坪あたり72パックという、一時の不調から見違えるような成績を収めるに至ったのです。
「あのイチゴの回復力はすごいですよ!微生物をなめていましたよ!」と、Mさんは、サンビオティック農業資材の力を納得されたのでした。
サンビオティックで太陽熱消毒を実施!
そこで、「今期は土づくりから!」と、サンビオティック導入による太陽熱消毒に取り組んでいる、というわけです。
太陽熱消毒で、もっとも大切なことは
- 地中温度を上げること(地中25cmが40℃以上)
- その温度を継続すること(積算温度900℃目標)
の2点です。
右の写真は、イチゴを栽培している佐賀県のMさんのハウスにて、太陽熱消毒を実施しているものです。
★そのために、Mさんが実施している注意ポイントが次の項目です。
- 良質な有機物を施用する(生米ぬか500kg/10a、牛糞堆肥2t/10a)
- 好気性微生物 菌力アップ(10L/10aを100倍希釈して散布)
- 水分率60%(しっとりと湿っていて、手で握ると塊ができるが、崩れやすい)
- 透明マルチで水分を逃がさないようにしっかりと被覆すること
- 7月20日スタート(佐賀県)
そうやってスタートした太陽熱消毒。今年は、梅雨が長く、なかなか日照が確保できない中、順調に温度が上がっています。お伺いしたときは、太陽熱消毒の処理開始から10日ほどたっていましたが、ご覧の通り、日中の地面は、70℃弱となっていました。
平均は65℃くらいでしょうか。糸状病原菌(フザリウムやピシウム、べと病などの菌)は、地表面に多く生息していますが、この温度なら、まずノックダウンです。
そして、問題の地中の温度ですが、20cm下部分で47℃でした。
これなら、25cm下で40℃は確保できているでしょう。
基本的には、太陽熱消毒では40℃の温度帯を2週間程度維持できた深度が、病原菌やセンチュウを駆除・防除できた深度と考えることができます。
これは、カビの仲間や病原性細菌、そしてセンチュウなどが、40℃付近で生育環境としては温度が高く厳しくなってくることにより、弱体化し、または繁殖できなくなること。
それに加えて、放線菌やバチルス菌などの微生物にとっては、好適環境となり、そのような病原菌を食べてしまうことで、いわゆる「消毒」という作用を働かせていることになります。
ただし、そのためには、病原菌やセンチュウを弱体化させる40℃が最低でも2週間、出来れば3週間以上継続することが重要です。数時間や数日だけ40℃だと、消毒の効果は、限定的となるんですね。
そのため、積算温度(地中20cm下部分の温度℃×日数)が、900℃を目標とすると良いことになります。
太陽熱消毒の2〜3週間の間、消毒とはいっても、実際には非常に多くの目に見えない微生物が土の中で繁殖し、盛んに有機物を分解しながら、様々な有用物質を生成したり、土壌団粒化を促進したりしています。
太陽熱消毒は、土づくりになる技術でもあるんですね。
これで、次の作付けが楽しみです。
(Mさんにサンビオティックをご紹介したYさんは、イチゴの萎黄病に苦しんでいたところ、サンビオティックの導入により劇的に回復され、好成績を続けているイチゴ農家です。Yさんの事例はこちら)
※本事例は、サンビオティック 太陽熱消毒処理マニュアルに沿って、作業を実施しています。
以上、太陽熱消毒、太陽熱養生処理、陽熱プラス処理の実際をレポートしました。ご参考にしてください。