ノウハウ手帳

(促成)イチゴ栽培マニュアル

親株定植〜子苗育成期

11月〜3月 親株定植(無病苗)、活着促進

親株定植(地床栽培の場合)

商品名10a施用量・倍率
(親株植付部分のみ)
施用方法
五穀堆肥1〜2L/m2土壌混和
有機百倍100g/m2
鈴成100g/m2

親株定植(育苗ポット栽培の場合)

商品名10a施用量・倍率施用方法
育苗培土(市販)必要量混和
鈴成培土に対して5%

活着促進

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ200倍希釈定植後潅水
2〜3回
タスケルプ!3000倍希釈

備考
地床の場合は、親株植えつけ部分の面積(1m2)当たりの施肥量です。苗床のpHを測定し、6.0~6.5に調整したうえで、元肥を定植の2週間前までに土壌混和します。
親株は無病苗を確保し、定植後速やかに活着するため、菌力アップ200倍希釈液を、2~3回潅水します。水はねしないように注意します。(炭疽病対策)
なお、子苗を地床に直接這わせる場合は、有機百倍、鈴成を各50g/m2を苗床の標準使用量とします。

4月 ランナー発生、育苗培土準備

ランナー発生

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ200倍希釈5〜7日おき潅水
(苗数確保まで)
糖力アップ300倍希釈

備考
休眠覚醒次第、潅水を始めます。菌力アップと糖力アップを施用することで、展開スピードを速め、太く丈夫なランナーを多く取る。徒長する場合は、糖力アップを薄くするか、省略する。病害リスクを回避するため、液肥が葉にかかるような場合は、糖力アップを省略するか、特濃糖力アップ500倍を使用します。

育苗培土準備

商品名10a施用量・倍率施用方法
育苗培土(市販)必要量混和
鈴成培土に対して5%

備考
健病育成のため鈴成を3~5%混和します。病害虫に強く、徒長しにくく、コストも非常に安いです。培土との混和が難しい場合は、1ポット当たり10g(大さじ1)を入れ、軽く指で混ぜます。

5月〜9月 子苗育苗(子苗への施用)

発根促進、生育促進、土壌病害予防

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ200倍希釈5〜7日おき潅水
糖力アップ500倍希釈
コーソゴールド500倍希釈

備考
徒長気味や、病気になりやすい場合は糖力アップを省略します。潅水は天気の良い午前中に行い、水はねをしないように注意します。(炭疽病対策)
菌力アップによって、病原菌の蔓延を防ぎます。

健苗育成

商品名10a施用量・倍率施用方法
コーソゴールド500倍希釈1週間おき潅水
(芯打ち)
マジ鉄3000倍希釈
海王5000倍希釈

備考
徒長気味や、病気になりやすい場合は糖力アップを省略します。潅水は天気の良い午前中に行い、水はねをしないように注意します。(炭疽病対策)
菌力アップによって、病原菌の蔓延を防ぎます。普通の潅水でも良いですが、できればクラウン部分にかかるようにジョロなどでたっぷりかけていきます。この作業を芯打ちと呼んでいます。病害に強くなり、根が張りしっかりと成長します。
菌力アップ、糖力アップとの混用も可です。

高温・乾燥対策

商品名10a施用量・倍率施用方法
イーオス200〜300倍希釈頭上潅水、
または葉面散布
タスケルプ!2000倍希釈

備考
猛暑により炭水化物が消耗し、苗のバリア機能が低下して病害虫に侵されるリスクが高まります。猛暑日の早朝や、前日の夕方に頭上潅水または葉面散布で対応します。菌力アップとは混用できません。

病害虫対策

商品名10a施用量・倍率施用方法
本気Ca(マジカル)1000倍希釈農薬と混用で
葉面散布
本格にがり1000倍希釈
イーオス500倍希釈

備考
炭疽病、萎黄病、その他の病害が発生しやすい圃場では、上記の菌力アップ等の潅水のほか、防除の際に左記の液肥を混用して散布します。
葉の組織が硬くなり、病害抵抗性が向上します。

花芽分化促進

商品名10a施用量・倍率施用方法
コーソゴールド500倍希釈葉面散布
海王5000倍希釈
マジ鉄5000倍希釈

備考
花芽分化を促進する時期に実施します。数日~1週間おきに2~3回散布します。
この方法は、本圃での定植後の花芽分化促進にも有効です。

本圃の土づくり

ワンポイントアドバイス!
本圃の土づくりが成功の決め手です。さらに健全な土づくりをするため、是非土づくりのプログラムに以下の処理をご導入ください。

5月下旬(収穫終了次第) 緑肥栽培

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ5L全面散布
ソルゴー種子3〜5kg

備考
地力の回復、塩類の除去、土づくりのため緑肥栽培を組み込むと、土が健全となり収量が増加します。
5月下旬、収穫終了後速やかに、イチゴ残渣をすき込み耕耘し、ソルゴー種子と菌力アップを散布します。
ソルゴーが生育し、約2ヵ月後にはすき込み、太陽熱消毒処理に移行します。

7月下旬 太陽熱消毒処理(養生処理)

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ10L(前・後)全面散布
有機物2〜3t

備考
太陽熱消毒(養生処理)は、薬剤消毒に比べ安全で低コストなうえ、有用微生物を増やすため土づくりにもなる経済メリットが大きい方法です。
菌力アップを使用すると、温度上昇しやすく、消毒効果が高まり、また土壌団粒化を促進します。
処理の具体的方法は、別途、「太陽熱消毒処理(養生処理)マニュアル」をご参照ください。

本圃(元肥〜収穫期)

8月 本圃準備(元肥)

商品名10a施用量・倍率施用方法
堆肥1〜2t土壌混和
有機百倍5袋
鈴成10袋

備考
あらかじめ土壌分析に応じて、pHを6.5程度に調整するため、有機石灰(カキ殻石灰)などを施用します。
その後、1~2t程度バーク堆肥・牛糞堆肥などの堆肥を施用します。五穀堆肥の場合は50袋です。豚糞、鶏糞の場合は、500kg以下とします。堆肥施用後混和し、1ヵ月置きます。
薬剤土壌消毒や太陽熱消毒、還元消毒をした後は微生物が減っています。消毒後に必ず菌力アップ5~10Lを潅水します。
元肥の有機百倍は、マッスルモンスターに置き替えてもよいです。その他、必要に応じて苦土や加里などの不足は、市販肥料で補います。(硫酸苦土、硫酸加里)

9〜10月 定植期

活着促進・初期生育促進

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ5L5〜7日おきに潅水
(4回以上)
コーソゴールド2kg
本気Ca(マジカル)1kg

備考
活着促進、初期生育の促進のため、定植直後は菌力アップ200倍を、1~2回ほど手潅水します。(どぶ漬けも良い。)
活着後は、左記のとおり。水量は1t程度、十分にしみわたる量とします。

高温・乾燥対策

商品名10a施用量・倍率施用方法
イーオス200〜300倍希釈潅水、または葉
面散布(随時)
タスケルプ!2000倍希釈

備考
定植期の猛暑により活着不良、日中の萎れが発生すると、その後の生育に大きく悪影響を及ぼします。
イーオスは高温・乾燥に対するストレス耐性を強化し、日中の萎れが減ります。またタスケルプ!が発根促進し、乾燥や病害虫抵抗力を高めます。猛暑期には随時、夕方、または早朝の潅水作業時に実施します。

10月中旬〜5月 収穫期

収量アップ

★ここがポイントです★

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ5L7日おきに潅水(継続)
(1〜2tの水で希釈)
糖力アップ5〜10kg
コーソゴールド2〜3kg

備考
収穫期間を通じて発根作用を停滞させないことが重要です。そのため、菌力アップは年内は必ず施用します。
11月中旬ごろからは、気温も下がり着果負担もかかるため、糖力アップを混用し、果実肥大、収量アップ、なり疲れ予防の対策とします。糖力アップは厳冬期も継続します。春先から、草勢が強ければ減らすか、止めて構いません。ただし、センチュウ被害がある場合は、菌力アップと糖力アップは混用して継続したほうが良いです。
コーソゴールドは、食味・品質向上、病害予防のため。潅水の間隔や量は、生育を見てその都度調整します。
栽培の終盤、元気な状態を維持し、収穫期間をより引っ張りたい場合は、本気Ca 2kgとマジ鉄100gを混用します。

花芽分化促進

商品名10a施用量・倍率施用方法
コーソゴールド500倍希釈7日おきに葉面散布
海王5000倍希釈
マジ鉄5000倍希釈

備考
定植後から、気温が下がる11月中旬ごろまで、花芽分化を促進するため、1週間おきに継続的に実施します。
煙霧機等を使用する場合は、コーソゴールドは200~300gを使用します。コーソゴールドとは別の日に、海王30~50gとマジ鉄30~50gを混用して、噴霧します。(10aあたり)
この葉面散布は、着色促進にも働き、白ろう果・先白果・先青果の予防にもなります。

休眠防止・草勢回復

商品名10a施用量・倍率施用方法
タスケルプ!2000〜3000倍希釈10日おきに葉面散布
(月2〜3回)
イーオス200〜300倍希釈

備考
厳冬期の日照不足、電照不足、低温などにより、葉柄の伸びや葉の展開が悪くなっている場合は、タスケルプ!によりオーキシン活性を高め、イーオスにより炭水化物を供給します。葉色が冷めている場合は、尿素等の窒素成分もプラスします。

品質向上・軟果予防・ダニ対策

商品名10a施用量・倍率施用方法
本格にがり500〜1000倍希釈7日おきに葉面散布、
または潅水
本気Ca(マジカル)2000〜5000倍希釈
純正木酢液500〜1000倍希釈

備考
葉や果実が硬くなり、果実の軟化や腐敗を防ぎ、棚もちが良くなります。また病害虫に強くなります。本格にがりでダニ等が減ったという報告もあります。特に春~夏の気温の高い時期にはおすすめの作業です。
煙霧機で使用する場合は、本格にがり200~300g、本気Ca40~70g、純正木酢液40~70gを使用します。(10aあたり)ただし、本気Caは、果実に汚れが付く場合がありますので、薄めからお試しください。

病害発生時

土壌病害の対応

商品名10a施用量・倍率施用方法
菌力アップ10L潅水(水1t)
3日おき4回以上
純正木酢液1L
本気Ca(マジカル)2kg

備考
萎黄病、炭疽病などは、必ず初期症状で発見し対応します。殺菌剤等を使用したのち、菌力アップで病害の蔓延・拡大のリスクに対応します。ネグサレセンチュウの場合は、糖力アップ5kgを混用します。
3日おき4回潅水が終了したら、使用量を半分にして、7日おきに潅水を継続します。

注意点

  • 糖力アップは、点滴潅水、ドリップ潅水では詰まりますので、使用をお控えください。ななちゃんをお勧めします。
  • 促成いちご栽培をモデルにしています。地域、作型によって、時期が異なると思いますので、生育ステージで判断してください。
  • 可能であれば、土壌診断を実施し、データに基づいて施肥設計を行うことをお勧めします。
  • 品種や土壌条件等によって、施肥量は加減してください。高設栽培の場合は、記載した原液使用量は、半分〜2/3にして良いです。