あ行
秋に行われる植物への追肥。収穫後のなり疲れの回復と、冬期に備えるための栄養補給などを目的とする。
水はけ改善や畑の通路確保、根腐れ防止のために、直線状に一定間隔を空けて土を盛り上げた栽培床のこと。畝を作ることを「畝立て」と呼び、畝の作り方や高さは栽培する作物や地域の環境によって異なる。
主な作物を収穫した田畑に、次の作付までの期間、他の作物を栽培すること。後作(あとさく)とも言う。日本では耕地面積が狭く、その有効利用を図るため裏作が発達した。二毛作における主たる作物栽培を表作、その収穫後の別の作物の栽培を裏作という。また緑肥として栽培されるレンゲソウなど裏作と呼ばれる。
施設栽培において、病害虫の防除を目的として使用される機械。薬剤を煙霧化し散布することで、作物の隅々まで効果的に薬剤を届けることができる。
作物の収穫までの期間が比較的遅い品種。同じ作物であっても、生育の速さによって早生(わせ・そうせい)、中生(なかて・ちゅうせい)、晩生(おくて・ばんせい)の品種に分類される。
花が終わった後や実を収穫した後に植物に施す肥料のこと。生長や開花、実をつける過程で消費した栄養素を補給し、再生や新たな生長を促すために施される。一般的に、お礼肥えには速効性のある化成肥料や液肥が使用される。
か行
移植した植物や接木、挿し木などが、新しい植え替え場所で根を張って生長を続けることを指す。
環境制御(環境制御型農業)とは、温室栽培や植物工場、水耕栽培などで生育環境(光、CO2、温湿度、気流)を調整することで、安定した収穫量や品質を維持するための農業技術。省人化や農薬の低減などといった特徴を持つ。そのほか、都市部や人口密集地域においても限られたスペースで効果的な農業を実現し、輸送コストや二酸化炭素排出量を削減可能な手段として注目されている。そのため、食料供給の安定化や環境保護の両面でプラスの影響をもたらし、持続可能な未来の構築に貢献することが期待されている。
人工的に作物に水を供給すること。
大規模農場や施設園芸で行われる水やりに用いられる農業用ホースの一種。等間隔に配列された小さな孔から水やりを行うことで、水やりの労力と時間を節約しながら、効率的に散水できる。潅水チューブには、畝(うね)間に設置して使用するタイプや、ビニールハウスなどの天井部に設置して使用するタイプなど、様々な種類がある。
植物の根域にそそぎかけること。
あるものに何かを加えることにより、薄める、濃度を低くすること。〇倍希釈という場合には、溶媒を加えて希釈した後の溶液が、もとの原液の〇倍の量になるということ。必要とする希釈した後の溶液の量を、〇倍の数字で割ると原液の量になる。そして、加える溶媒の量は、希釈した後の溶液の量から原液の量を引いて計算する。
たとえば、100倍希釈の本格にがり10Lを必要とするならば、10L÷100=0.1Lなので、原液の量は0.1L(100mL)。また、10L-0.1L=9.9Lなので、9.9L(9L900mL)の水を加えることになる。
上に伸びようとする主要な枝を残し、下や横に伸びる枝を切ることにより、主要な枝により栄養や水分を集中させる剪定方法。切り上げ剪定により、植物ホルモンの働きが促され、品質向上や収量増加、病気や害虫の発生リスクの低下が期待される。
土壌をくん蒸消毒する農薬。土壌中の病原菌、害虫、センチュウ類を防除する効果があり、野菜、花き等に広く使用されている。ドジョウピクリンやドロクロール等の商品名で販売されている。気化しやすく、催涙を伴う強い刺激臭があるので、正しい取り扱いが必要である。
耕盤層は、トラクターや耕うん機などで何度も田畑を耕うんすることにより、機械の重みなどが原因となり、作土のある特定の深さの下にできる硬い土壌層のことを指す。耕盤層は、通常は最も肥沃で、根の生長や水分の保持に重要な役割を果たす。しかし、耕うんのしすぎで耕盤層があまりにも硬くなってしまうと、土壌の水はけが悪くなったり、根張りが悪くなるため、収穫量の減少や冠水のリスクの増加に繋がる。
さ行
農地に農作物を植え付けること。
残渣は、作物の栽培を終えたときに圃場に残る実以外の茎や葉、つる、根などの残骸物を指す。残渣は、病害虫や病原菌に侵されやすい傾向にあり、そのままにしておくと次の栽培に悪影響を及ぼす可能性が高くなる。残渣処理の方法には主に2つあり、残渣は焼却処分する方法と、できるだけ細かく裁断し、有機物と窒素肥料などを混ぜ合わせて発酵させて堆肥にする方法がある。
代掻きは、田起こしが完了した田んぼに水を張り、土を細かく砕いてかき混ぜ、土の表面を平らに整える、田植えの前に行われる重要な作業を指す。
昔は、牛や馬に馬鍬(まぐわ・まんが)と呼ばれる農具を引かせたり、人力で代掻きを行っていました。現代ではトラクターにロータリーなどを装着して代掻きを行うことが一般的。
施肥とは、作物や植物の生長や生育を促すため、土壌や栽培環境に肥料で養分を供給することを指す。
ソルゴーは、イネ科の穀物。農業分野では、ソルガムとも呼ばれる。植物学的にはモロコシ、雑穀としてはタカキビ、茎から甘味料を得る時はソルゴーと呼ばれる。アフリカ原産で、暑く乾燥した地域でもよく育つのが特徴。
アブラムシが多く発生するので、それを食べる天敵も多く発生するため、バンカープランツとして利用されることがある。また、風や風害からの保護や土壌の保全を目的とした防風対策や、土壌改良や栄養補給のための緑肥としても広く栽培されている。
た行
台木とは、接木をするときに土台となる植物のことを指す。
太陽熱消毒とは、太陽の熱で土壌を高温にし、病原菌や有害微生物、害虫、雑草の種子などを死滅させる土壌消毒方法。
田畑の土中に下水管の様な穴を作ることで土中の水を排出し、土を乾きやすくするための技術。弾丸暗渠の手順は、文字通り、「弾丸」の形をした金属をトラクターに付けて引っ張り、田畑の土中に「排水管(暗渠)」の役目を果たす孔を作る。
長期にわたって収穫を行うこと。
作物の生育途中で、肥料分が不足してきた時に施す肥料のこと。
植物を苗床などから栽培地に植え替える作業のこと。
低窒素栽培とは、窒素の施肥を削減して栽培することを指す。窒素は作物の生長に必要な要素だが、過剰な窒素の施肥は、作物の生育や環境への負荷を与えることがある。
低窒素栽培では、窒素固定菌が好む堆肥やぼかしを土壌に施し、窒素固定菌の活動を促進する。これにより、土壌内の窒素供給を増やすことができる。
水をバケツなどで持ち歩き、人の手で植物の根に直接水やりをすること。育苗中の小さな苗は、手潅水などで一つひとつやさしく丁寧に潅水することで、苗へのダメージやを防ぎ、均一に水を供給することができる。
土壌の中に存在する有害微生物や病原菌、害虫、雑草の種子を除去・死滅させて無毒化すること。 土壌消毒の方法には、化学物質を用いる方法(殺菌・殺虫剤の注入)と、熱を利用する方法(焼土、熱蒸気消毒法、太陽熱消毒)などがある。
な行
作物の収穫までの期間を早・中・晩に分けたとき、中間になる品種。同じ作物であっても、生育の早さによって早生(わせ・そうせい)、中生(なかて・ちゅうせい)、晩生(おくて・ばんせい)の品種に分類される。
植物が最も活発に生長する夏季に行う追肥。
ネマトリンエース(石原ネマトリンエース粒剤)は、センチュウを防除するために使用される薬剤。
農作物等に加害する病害虫や雑草などから防除するために使用される薬剤。
は行
農作物を栽培する際に種をまくこと。
春肥は、早春から夏にかけて、作物に施す肥料を指す。
微生物資材とは、微生物を豊富に含んだ粉末や液体の物質を指す。微生物資材には、生きた微生物だけでなく、微生物を安定して保持するための担体や微生物を活性化させるための栄養素などが含まれる。各微生物が得意とする分野は異なり、土壌のほか大気、水質などの改良に活用される。土壌改良においては、土壌中の有機物分解、窒素固定、病原菌の抑制などの働きをする。
品種とは、作物の栽培において、一定の特徴に基づいて同一の単位として分類される個体を指す。作物の品種の具体例は、ジャガイモの男爵、メークインなど。
なお、作物の品種は、交配種(F1)と固定種の2つに分類される。交配種は、雑種一代とも呼ばれ、異なる性質を交配することで品質や収量、育てやすさにおいて優れている(雑種強勢)が、二代目には引き継がれない。固定種は、自家採種した種で、同じ特徴を持った作物を作ることができる。
農業においては、生物(虫・動物・鳥)や雑草による被害を防ぐことを指す。
田、畑、果樹園、牧草地など、農産物を育てる場所のこと。
ま行
農業におけるマルチ(マルチング)とは、畑の畝をビニールシートやポリエチレンフィルム、ワラなどで覆うことを指す。マルチを行うことで、土壌水分の蒸散を抑制したり、土壌温度の調節、 雑草抑制、肥料の流出抑制、病原菌の抑制など様々なメリットがある。
マルドリ栽培(マルドリ方式)とは、マルチ栽培と点滴潅水を組み合わせ、気象条件に左右されない環境で、潅水や施肥ができる仕組みを指す。
植物の種や苗を植え付ける前に、あらかじめ土に混ぜ込む肥料のこと。
や行
土壌消毒剤を使用して、土壌の中に存在する有害微生物や病原菌、害虫、雑草の種子に対する土壌消毒を実施すること。
土壌消毒の方法には、化学物質を用いる方法(殺菌・殺虫剤の注入)と、熱を利用する方法(焼土、熱蒸気消毒法、太陽熱消毒)などがあるが、薬剤土壌消毒は化学物質を用いる方法にあたる。薬剤土壌消毒は、病原菌だけでなく、病原菌に対して抑制的に働く拮抗菌などの有益な微生物も同時に殺してしまうため、微生物の多様性や土壌生態系に対して大きな影響を与える。そのため、環境への影響や安全性への配慮も必要である。
農業における有機とは、化学肥料や農薬の使用を制限し、自然環境との調和を目指す農業の概念として使用される。
これまでの太陽熱土壌消毒をより効果的に実施するための技術体系。陽熱プラスでは、従来型の作業手順を見直して、太陽熱土壌消毒前に元肥、耕起、畝立てをする。さらに、太陽熱土壌消毒処理中に地温をモニタリングしながら適切な太陽熱土壌消毒処理時間を判断する。これにより、病害対策だけではなく、土壌の消毒や養分供給、生物相の改善などの効果を予測することが可能になった。
作物の葉や茎、実などの表面に養分が含まれた液体を散布し、栄養を与える施肥の方法。葉面散布は、土壌からの吸収に比べて養分の吸収効率が高く、迅速に栄養を供給できる。
ら行
特定の作物を同じ場所で繰り返し栽培することによって、生育不良や病害虫被害が生じること。土壌中の栄養バランスの崩壊や病害虫の発生が主な原因。作物の輪作や緑肥の活用は、連作障害の予防に効果がある。
ビニールハウスなどの施設を使わず、屋外の畑で作物を栽培する方法。コストや手間がかからない反面、鳥獣や害虫の被害、気候変動の影響を大きく受ける。
わ行
作物の収穫までの期間が比較的短い品種。同じ作物であっても、生育の早さによって早生(わせ・そうせい)、中生(なかて・ちゅうせい)、晩生(おくて・ばんせい)の品種に分類される。