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果樹用ドローンの検討と導入について!

果樹用ドローン

皆さん、こんにちは!
興奮冷めやらぬ感じで!というのは言い過ぎですが、来週も忙しいので今週のレポートを提出したいと思います!(笑)

というのも、最近ストーリーズでアップしておりましたが、昨日と今日、果樹栽培(みかん、カンキツ)におけるドローンの活用について、勉強会的に散布試験を2機種、3圃場で行いました。

私は、果物好き、みかん好き「代表」として、これからを担う果樹農家を応援できれば、こんなに嬉しいことはないと思っていますが、このような情報共有を通じて、または新しい資材の開発や供給を通じて、少しでも皆様のお役に立てればと思います。

そこで、今回確認したことや、思ったことを皆様と共有した方が良いと思いましたので、ここに試験レポートを共有したいと思います!ただし、とりあえず現段階では、メーカー名、機種名は伏せておきたいと思います。

ドローン散布を実際に見てみての感想

さて、果樹に関しては、「まだまだドローンは・・・」とお考えの方も多いと思います。私も、先日までそのように思っておりましたが、昨日、今日と自分の目で散布テストを見ましたところ、「あー、そろそろ実用レベルに達してきているんだな」と実感しました。

これから、カンキツ生産者だけでなく、リンゴや梨、桃、柿などの果樹栽培生産者は、どんどん減少していくことが予測されます。今後、品質レベルを向上させながらも、生産量を少しでも維持していくことが、売り場の減少や客離れを起こさないために非常に大切なことだと思います。

そんな中で、防除や、液肥等の葉面散布を大幅に効率化できることは、重要なことかなと思います。特に、近年では果実の品質(味や貯蔵性)を高めることはとても大事で、葉面散布技術を多用することが増えています。そして、今後も散布回数が増えていくことはきっと確実ですよね。

ドローン散布を導入するメリットとデメリット

まず、果樹農家にとって、ドローン散布を導入するメリットとデメリットは下記のようにまとめてみます。

(メリット)
・短時間で散布できるので、適時散布を実現しやすくなる。効率よく、大面積、多圃場の散布が実施できる。(実測10aあたり3分弱)
・散布の重労働から解放される。特に、猛暑の中の散布をしなくて良い。(早朝や夕方のみで仕事が終わる。これは樹にとっても非常にストレスが減る。)
・防除、葉面散布の時間が減った分、剪定や摘果など、果実品質や収量に直結する作業時間を確保しやすい。
・水源がない場合、水の確保は少量ですむ。
・農薬散布の際、被爆しにくい
・機種によっては、夜間の散布(作業)が出来る
・園主が病気やケガで作業できない場合も、適切な散布が可能。(ドローン業者への委託散布の場合。)

(デメリット)
・機械備品の購入や、ライセンスの取得に金銭的、時間的な負担がある。
・薬剤が十分に効かない可能性がある。
・ドローンに適用のある農薬がまだ少ない。(選択肢が少ない。)
・農薬と農薬(例えば殺虫剤と殺菌剤)、農薬と葉面散布剤の混用などができない(しにくい)場合がある。または効果が落ちる可能性がある。
・マシン油乳剤の様に、皮膜を作る必要がある資材は難しい。
・強すぎる風を当てると、果実が傷つく恐れがある。(操作面で考慮する必要。)

このくらいかなと思います。
デメリットより、メリットの方が大きい方は、ドローン導入を検討して良さそうですね!

ドローンの機種や業者さんの選定

さて次に、果樹栽培でドローンを導入する、またはドローン散布を業者に委託する場合に、機種の選定は重要だと思います。いま、私がこれはポイントだなと思っていることを、備忘記録的に列挙したいと思います。

(果樹農家にとって、機種・業者選定で考えるべき事。)

①機体が大きいこと。
→これは、効率面で非常に重要だと実感しました。果樹の場合は、10aあたり8~10リットルを散布するのが普通ですが、ドローンのタンク容量が小さいと非常に効率が悪くなります。何回も薬液を補充しに戻って、何度もバッテリーを入れ替えなければなりません。最低でも20a~30aは、一回の薬液補充とバッテリーで散布できる大きさが必要と思います。そうなると、30リットル程度のタンク容量のドローンが良いと思います。
→それから、機体が大きいことで強い下向きの風(ダウンウォッシュと言うそうです。)が発生します。この風が弱いと、薬液はただ樹の表面に掛かるだけで、内部や葉の裏へ付着しません。嵐か、春一番か!と思うくらいの風でちょうど良いと感じました。
→ただし、機体が大きいと重くなりますので、圃場の近くまで車が入れることが重要になりますね。持って歩くと思いですから。それに、多少の平坦な離発着のスペースも必要です。

②自動操縦の機能が優れていること。
→果樹の場合、手動散布はかなり難しいと思いました。熟練のオペレーターなら良いかもしれませんが、手動操作(マニュアル)では、段々畑や急傾斜への対応が難しく、障害物に当たる可能性や、散布むらは避けられないと思います。薬液の散布量や、散布コース、霧の粒径を設定して覚えさせ、オート操縦で散布してもらうのが正解だと思います。
→その場合、簡単にマッピングできる機能、GPSや基地局を基準としたズレのない位置認識機能、障害物の自動回避(障害物認識機能)、高度の安定した飛行(傾斜や段々畑への対応)、ルート設定の自由度の高さが必要です。そして、クラウドへのマップ情報の記憶があれば、さらに良いと思います。機械が壊れたり、機械を更新したら、マッピング情報がなくなったというのはつらいですよね。

③バッテリーの機能が高いこと
→バッテリーの機能は今後も向上してくると思いますが、現時点では1回に数分から、10分弱の飛行時間のバッテリーを搭載しているドローン機種がほとんどです。そのため、面積をこなす場合は、複数のバッテリーが必要です。
→1本のバッテリーで何分飛行できるかはとても大事ですが、1ha以上の散布をする方は、発電機を使用して充電しながらバッテリーを回すのが経済的になりそうです。その場合、何分で満タンに充電できるのかはとても大切なポイントです。バッテリーをたくさん買うよりも、最低限の本数を買って、良い発電機を買った方が良い場合もあるかと思います。

④メンテナンスが楽であること。
→使用後の掃除やメンテナンスが楽である事はとても重要だと思います。掃除しにくい複雑な形状の機体や、ノズルが詰まりやすいなどの機械だと、面倒で仕方ありません。

⑤夜間飛行できること。
→先述の通り、夕方から夜間に掛けて、またはまだ薄暗い早朝に散布できることは、非常にメリットがあります。特に夏の時期は、作業者への体の負担も減りますし、樹にとっても高温・強日照下で散布されるストレスがなくなるのは、非常に大きいメリットです。
暗くても安全に飛行し、散布できるだけのライトやセンサーの能力が必要と思います。

⑥フォローやアフターメンテナンスの体制
→機械を購入するときはいつもそうですが、アフターがだめなメーカーや業者とはあまり付き合いたくないですね。ドローンも安くないものですから、この辺りは注意が必要と思います。
→まず、保証期間と、導入後何年間は部品を供給してくれることを約束してくれるのかは重要な部分かと思います。日進月歩、入れ替わりの激しい業界ですから、急に新機種が出たからなどの理由で、部品供給を止められたりすると、万が一の故障の時、お持ちのドローンは、宝の持ち腐れになってしまう可能性があります。ドローンは外国製が多いので、日本の常識は通用しないので、注意すべきと思います。
→どの部分が消耗品で、どのくらいのスパンで交換になるのか確認が必要です。また修理できる業者や工場が近く(せめて3時間以内くらい)にないと、結構困ることになると思います。
保険への加入も重要だと思います。対人対物の賠償責任保険は必須だと思いますが、操縦ミスや強風、水濡れなどに対する物損保険もやはり重要と思います。場合によっては盗難もあり得ることも想定して、より安い保険の設定が大事です。そのような事も、アドバイスしてくれる業者さんとお付き合いしたほうが良いと思います。
→ライセンスの取得に関しては、国家資格と共に、メーカーライセンスを設定している場合も多いようです。果樹用は機体が大きいため、より安全かつ高度な使用が想定されているからでしょう。ライセンスの取得しやすさも、重要な論点かなと思っております。

備忘記録的に書いてしまいましたが、以上が皆様のご参考になれば幸いです。

なお、これはまだ私のここ数日の経験に基づく感想なので、ぜひ皆様からも情報やアドバイスや感想がありましたら教えて下さいませ!SNSへメッセージでも書き込みでも嬉しいです!みんなで情報を共有して、新しい果樹農業を作っていけたら楽しいなと思います!