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みかん、カンキツの果実腐敗への有機酸カルシウム施用時期

ウンシュウミカンの果実腐敗に対するクエン酸カルシウムの連年施用効果

皆さんこんにちは!
早いもので、みかんの花も散り始めていますね。(本日2024年5月7日)

これからみかん、カンキツについては、発根促進、緑化促進と、生理落果防止など、考えることが多い時期です。この時期に、もう一つ考えて欲しいことがあります。実は、カルシウムなんですよね。収穫後の果実腐敗、貯蔵腐敗が多い方はぜひ読んでみてくださいね。

佐賀県の果樹試験場では、昨年度の試験報告書で、5月のカルシウム施用の果実腐敗に対する影響を調査しています。

佐賀県研究成果情報(作成2024年3月)
[情報名]ウンシュウミカンの果実腐敗に対するクエン酸カルシウムの連年施用効果https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003106036/3_106036_315703_up_s5353qxm.pdf

この研究成果から、カルシウムは5月から施用することの意義を読み取ることが出来ますね!

クエン酸カルシウムという有機酸カルシウムを水に溶かし、潅水したテストで、果実腐敗は明らかに減少しています。果実腐敗のテストは、収穫後にひっかき傷を付けて貯蔵するという、やや乱暴なやり方ですが、これでも「腐れにくくなった」というのは、大いに評価できると思います。

カルシウムの施用時期は5月中下旬も

この試験から、カルシウムを施用するタイミングは、従来の8~9月と合わせて、5月も考慮した方が良いかもしれません。

有機酸カルシウム資材「本気Ca(マジカル)」には、クエン酸カルシウムよりさらに水に溶けやすく、吸収の良い有機酸カルシウムが8.95%含まれています。また合わせて、ほう素を1.15%含んでいますので、カルシウムによって強化された細胞壁の構造を安定維持させる働きが加わります。

(参考)
【農研機構】ホウ素は植物細胞壁でペクチンを架橋して働く
https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/karc/2002/konarc02-60.html

この時期のカルシウムやほう素が、なぜ半年も先の果実品質、果実腐敗にまで影響するのでしょうか??人間でも「三つ子の魂百まで」といいますね。まだみかんが赤ちゃんの時期に、しっかりとした教育?をすることが大事なのでしょうか?

この疑問に対する大きな理由の一つは、カルシウムの固定性にあると思います。みかんや中晩柑がまだ小さい赤ちゃんの時、果実内では多くの細胞が分裂しています。この果実内の細胞分裂は、実は花芽や花器が充実する時期である4月から始まっているのですが、気温が高くなり、いよいよ受粉の時期を迎えた果実内では、猛烈に細胞分裂しながら、その細胞の器官分化や形態変化が起きています。

その細胞一つ一つには、当然ながら細胞壁があるのですが、この細胞壁は主に、セルロース、ヘミセルロースなどの繊維を骨格として、カルシウムやホウ素などを主成分とするペクチン質が隙間を充填し、固まっています。柔軟且つ強固な細胞壁が出来るためには、カルシウムとホウ素の役割は大きい訳ですね。

ここで、細胞壁に使われたカルシウムは、そこに固定化します。ですから、果実がまだ赤ちゃんの時にしっかりと強い細胞壁を作っておくことが、収穫後の果実品質、果実腐敗にまで影響すると考えられるわけです。

果実品質を高め、果実腐敗を防ぐカルシウムの施用方法

果実腐敗や浮皮の多い方は、ぜひ春先からのカルシウムの施用も考えてみてはいかがでしょうか?

4月~5月上旬   本気Ca(マジカル)1000希釈 葉面散布 数回
5月中旬      硫酸カルシウム40kg/10a 樹冠下散布
5月中旬~6月上旬 本気Ca(マジカル)500倍希釈 潅水5~10L/樹 数回
※春肥を施用していない場合や、著しく樹勢が弱い、花が極端に多いような場合は、硫酸カルシウムに変えて硝酸カルシウムを施用しても良いです。

本気Ca(マジカル)は、4月~5月上旬は葉面散布となります。まだ根の吸収力が弱いからです。そして、5月中旬以降は、潅水となります。もちろん葉面散布を実施し続けるのも良いことです。

ちなみに本気Ca(マジカル)は葉面散布すると、生理落果防止にも繋がりますので、葉面散布もお勧めです。

また、本気Ca(マジカル)に加えて、菌力アップ、糖力アップを潅水することで、発根促進や生理落果防止、土壌団粒化などが同時に対策できますので、お勧めです!

ぜひ本年の果実品質アップ!腐敗率の改善のため、皆さんも取り組んでみてくださいね!