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大雨、冠水時の対応について

大雨による冠水被害の発生時の対応

大雨と冠水被害の話題は、あまりしたくはないのですが、また今年もそのような状況となっています。
被害にあわれた方には、心よりお見舞いを申し上げます。

今日は4件、大雨で冠水したのでどうしたらよいか、というご質問のお電話をいただきました。本当にお困りのことと思い、できるだけ丁寧にご返答いたしました。
おそらく、このHPを見ていらっしゃる方の中にも、お困りの方がいらっしゃることと思い、改めて対処についてご案内いたします。

1.まず、圃場が冠水(水没)してしてしまったときの対応

一番問題なのは、根の酸素不足です。人は、約5分水に浸かると死んでしまいますが、植物も呼吸をしていますから、長時間(数時間〜数十時間)水に浸かると、根の細胞が死んでしまいます。
死んだ細胞の部分から、腐敗菌や病原菌が入り込み、病気になってしまいます。これが、一番のリスクです。
でも考えてみてください。水耕栽培では、植物は育っています。それは、水に酸素を含ませて、常に水を動かしているからです。

サトイモは、湛水状態に強い作物ですが、さすがのサトイモも、新しい水が流れ込んでこなければ、水の溶存酸素がなくなり、病気になって枯れてしまいます。そういう事ですね。
そこで、圃場が水に浸かったときは、まず植物の根に酸素を供給することが先決です。

  • 圃場からできるだけ水を抜くこと。(ポンプ等で。排水路をつくる。など)
  • 液体タイプの酸素供給剤を流して、地中から酸素を発生させること。
  • ハウスの場合は、できるだけ換気して、植物の葉から、水を蒸散させること。

ということになります。

2.根の働きを高めること

冠水までしていなくても、畑がじゅかじゅかの状態(←この表現で分かりますよね?)の時は、やはり酸素供給剤を施用し、換気をよくしたほうが無難だと思います。

そのうえで、植物の根の活性を高める、土壌微生物相のバランスを整える作業に入ります。植物の根は、酸素不足により、または、雨や曇天が続く中、光合成が不足するために、根の活性が極端に低下していると思われます。
とくに、このようなときに必要な栄養素であるリン酸やカルシウムを吸収するためには、根酸という酸を、根から出して栄養を吸収する必要がありますが、それができないくらい疲れてしまっています。

そして、そういう状態の時に、一転して、晴天となり日中の高温と高照度の光が植物を痛めつけます。根からの給水が少ないので、植物にとっては、大変なストレスとなり、9時か10時ごろにはしおれ始めます。光合成もできない状態となり、病害虫への耐性をますます低下させてしまいます。
ですから、晴れる前に、高温になる前に、できるだけ根の活性を高めておく必要があります。そのため、菌力アップを施用します。反当10Lを50〜100倍希釈して、潅水します。微生物が、活動をはじめ、有機酸を出すことで、根酸がなくても、リン酸やカルシウムの吸収を助けます。根が快調に戻れば、高温になっても萎れることはありません。

なお、酸素供給剤には、微生物の殺菌作用を有するものが多いですから、混用や近隣散布はよくありません。まず酸素供給剤を施用し、翌日、または翌々日に菌力アップを施用するようにしてください。

3.アミノ酸態窒素で、日照不足をカバーする

曇天などの日照不足でも施用することのできる肥料は、アミノ酸態窒素です。アンモニアや硝酸などの無機窒素は、光合成ができないときにやると、株を徒長させ、軟弱し、病害虫に弱くなると同時に、果実の味が悪くなります。
日照不足でも、アミノ酸態窒素であれば、そのようなデメリットを軽減することができます。もちろん、露地の雨の日はだめです。雨の日は、そもそも気孔が閉じていますから、根からの吸収力はなくなっているからです。

サンビオティックの糖力アップは、アミノ酸態窒素の液体肥料となりますから、これを菌力アップと一緒に混用して、潅水します。葉面散布であれば、特濃糖力アップを葉面散布してください。

なお、冠水状態やじゅかじゅかの状態で、土壌に酸素がない状態で、糖力アップなどの有機系肥料を施用するのは、危険が伴います。アミノ酸や糖類などを栄養にして微生物が一気に繁殖して、土壌の酸素を消費するという事ですから、ますます土壌の酸素がなくなってしまうからです。
あくまでも、水が引いて、通気性が良くなってから施用してください。
上記の1、2、3の順番は、守るようにしてください。順番も大切です。

下のリンクは、過去の記事です。ご参考にしてください。
「アスパラガス 水害からの回復事例」
https://sunbiotic.com/experience/9061.html

「大雨後の冠水時には、すみやかな対策を。」

http://staff.sunbiotic.com/post-195.html

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このころから、毎年のように水害が起こっていて、本当に厳しさが増しています。それでも、前を向いて、生きていくしかありません。
どうぞ皆様、まずは安全第一で、雨季をしのがれますようお願いいたします。