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通路にもみ殻のすすめ(続編)

通路に有機物マルチ 他の事例

先日『通路にもみ殻のすすめ』という記事を投稿しましたが、その続報として、他の有機資材の事例をご紹介します。

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上の写真はトマト農家さんの、通路には笹(ササ)です。竹の葉っぱですね。

なるほど、これは面白いですね。笹の葉のデータがないのですが、竹そのもののC/N比は、200〜300くらいの様なのです。笹は、その葉っぱですから、おそらく100くらいではないかと思います。マルチ資材としてはちょうどいいですね。

しかも、竹には乳酸菌等の微生物の付着もありますから、土の腐敗を防止してくれたりする作用も期待できそうです。そして、竹に含まれるケイ酸は、土や石に含まれるケイ酸より、可溶性が高く、トマトに吸収される率も高いと思います。

トマトには、意外にケイ酸が重要で、ケイ酸が十分に吸収されることで、尻ぐされ病などの生理障害が減り、生長も良くなることが期待できますね。

(参考)トマトの尻腐果の発生と生育におよぼすケイ酸の影響
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010151789.pdf

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そして次の写真は、せとか(露地)とハウスミカンですが、足元にを見ると、、、。そうです。これは麦わらです。聞くと、ロールで買ってくるそうです。熱心ですね!

麦わらは、稲わらよりもC/N比が高く、稲わらのようにはすぐ腐れないですね。(稲わらC/N比60程度、麦わらC/N比90程度)

C/N比が高いというのは、分解が遅いという事でもありますし、それだけ長く炭素やフェノール性物質を供給するということでもありますから、土の団粒構造を維持する力が長く続くという事になります。

また、腐れにくいというのは、土づくりをするうえで、とても大切なことでもあります。たとえば、稲わらを山積みにして畑においておくと、雨水で水を含み、しばらく経つと、下の方はどろどろに腐れてきますね。場合によっては、悪臭すら匂うときもあります。このように、有機物が腐れるとき、多くの病原性糸状菌や、植物の生育を阻害するたんぱく質が形成されていて、植物の病気の原因になります。

ところが、麦わらやもみ殻は畑に積んでも、腐れてドロドロになるようなことはないですね。畑の土が腐れると、必ず作物には病気が出ます。畑に腐生菌が増えるからです。腐生菌は、大量の酵素を出して、有機物を分解しようとするので、そこに植物の根が当たると、腐れてしまうからです。

このように、畑の通路や株元に敷く有機マルチは、山積みにしても腐れにくいもの、C/N比が100程度のものがいいですね。ぜひ地元にある有機資材をお探ししてみてください。

(補足)
ちなみに、フェノール性物質というのは土壌団粒化を促進する物質として知られています。木材や植物の葉や茎に含まれているリグニンやセルロース由来の化合物です。これは、多量であると植物の生育を阻害しますが、微量に土に供給されることによって、土壌団粒の崩壊を防ぎ、または促進する作用があります。

(参考)フェノール性化合物の土壌団粒形成能
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030380189.pdf