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海藻液肥(海王)の使い方

海藻液肥の使い方

陸のものには、海のものを。海のものには、陸のものを。

自然は循環の中にあるからこそ、昔から農業の世界ではそのように知られてきました。きっと陸に育つ植物には、海水などに含まれるマグネシウムやカルシウム、カリウムや、様々な微量要素が必要なのでしょう。そして、海の生き物である魚介類には、豊富なプランクトンが必要なため、陸地に育つ植物の遺体から作られる糖類やフルボ酸などの腐植物質、そして鉄分などが大変重要な働きをするのでしょう。端的に言うと、そう言ったお互いに不足する部分を補うような相互作用があるのだと思います。

こういった自然の摂理を、耕種農業に利用した代表的なものは『海藻』であると思います。『海藻』を使ったぼかし肥料や、液体肥料などは、土づくりにもなり、かつ生育を良くするアイテムとして、現在でも利用者が多いですね。化学肥料では、生き物としてどうしても偏ったものになりがちですが、海藻肥料は、それを元の姿に戻してくれるものなのかもしれません。

そこで、今日は『海藻』に焦点を当てて、その利用価値と、使い方についてご説明したいと思います。

サンビオティックの海藻液肥「海王(うみおう)」

現在、サンビオティック資材で取り扱っているのは、海藻液肥の『海王』です。これは、海藻をそのまま、水に溶けやすい状態にして粉末にしてあるものです。葉面散布や潅水に使用すると、不思議な力があります。その一つ一つを検討してみます。

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海藻液肥の葉面散布について

まず、葉面散布についてです。海藻液肥を葉面散布することに意味はあるのでしょうか?

尿素などの化学肥料を葉面散布すると、主に葉裏から、散布の数時間後には吸収が開始され、丸1日で散布量の半分以上が吸収されるというデータがあります。では、海藻液肥も吸収されるのでしょうか?

これは、実験的に証明されており、じつは、葉から海藻成分が吸収されることが分かっています。吸収機構は、やはり葉裏の方が圧倒的に多く、また、古葉よりも新葉・若葉の方が、より吸収率が高いと考えられています。海藻由来の有機物(糖類やアミノ酸、ミネラルなど)は、化学肥料と同じように、葉から短時間で吸収され、しかもそれは、樹体内を簡単に移動し、新梢や根部へ移行していることが分かっています。植物は、葉からも、有機物を吸収して利用しているのですね

ちなみに、葉裏からの吸収が多いというのは、気孔の数が関係していると考えられています。一般的に気孔は、葉表よりも葉裏の方が圧倒的に多いのです。おそらくは、紫外線などの影響や、雨に濡れる時間を少しでも減らすための進化だと思います。

という事は、たとえば、ミカンのように果実表面に気孔が多くある植物は、果実そのものからも、アミノ酸などの有機物を良く吸収するということでしょう。これは、面白いヒントだと思います。肥大する前の果実には、多くの気孔が密集していて、葉面散布の効果が高いと考えられます。(肥大すると表皮が伸びるので、気孔は分散し、密度が低くなります。)

話がそれましたが、海藻の葉面散布には、有機物を直接吸収させるという作用があるという事です。このことは、先述のようにマグネシウムやカルシウムなどの無機栄養分を吸収させるということもありますが、それよりも大きいのは、アミノ酸や、アルギン酸やラミナリンなどの多糖類・炭水化物を吸収できるという事ではないでしょうか。そして、さらにインパクトがあるのは、オーキシンやサイトカイニンなどの植物ホルモンを吸収できるということです。

植物ホルモンの働きとは

ホルモンと言うのは、「指令」です。ほんのわずかな量で、「〇〇しなさい」という指令を全身に伝える仕事をしています。とても重要な働きですね。

ホルモンの働きについては、すこし分かりにくいので説明しましょう。たとえば、私たちが、骨を強くしたいと思って、毎日、一生懸命カルシウムを摂取したとします。煮干しを食べたり、牛乳を飲んだり。しかし、実は、それだけでは骨は作られないのです。カルシウムを摂るだけでは、骨は丈夫になりません。

なぜか、それは造骨細胞に対して、「骨を作れ」という指令が必要だからです。実は、筋肉に負荷を掛けたり、骨にショックが伝わることで、その指令が発せられます。これが、ホルモンです。ですから、骨を丈夫にしたいと思うなら、必ず運動をしなければならないのです。(または、運動をしていると脳や筋肉に勘違いさせる必要があるのです。)

なんとなく分かりましたでしょうか?

海藻肥料が、その成分以上に効き目があるのは、海藻肥料に含まれる植物ホルモンのせいではないかと考えられています。なぜなら、植物ホルモンを含まない海藻成分に似た液肥を作って施用しても、海藻肥料の様な効果が得られないことが多いからです。このあたりが、海藻の不思議さと言うところでしょう。

海藻液肥の効果とは

海藻液肥を葉面散布すると、葉からもよく吸収できることは分かったと思います。では、その効果とはいったい何でしょうか?

現象として現れるのは、新梢の伸びが良くなる。葉の枚数が多くなる。葉の厚みが出て、光沢が出る葉脈(特に主脈)が太くなり、転流が盛んになる。果実は着色が良く、比重が増す。また根量も増加する。などが主な効果として見られます。

良いことばかりのようですが、このことは、要するに何が作用したのでしょうか。

このことを研究した学者がいます。彼の研究によると、海藻液肥を樹上に葉面散布することによって、葉の中に能力の高い葉緑体が作られ、葉の光合成能力そのものが向上し、葉肉細胞内に多量の炭水化物の集積(大きなデンプン粒)ができることが、全てのスタートになっているという事だそうです。

このことは、ある意味納得のいく説明だと思っています。なぜなら、海藻というのは、海の中の生き物です。陸上よりもはるかに少ない太陽光線を利用して、非常に大きく生長します。つまり、光の利用効率が非常に高い葉緑体を持っているという事でしょう。そのような生き物の葉緑体製造ホルモン(指令)は、陸上植物にも通じるものがあるのでしょう。

海藻液肥の潅水はどうか

では海藻肥料を潅水する方法はどうでしょうか。

海外で行われたジャガイモやトマトのポット試験では、葉面散布5回よりも、土壌潅水の方が効果があったというデータがあります。やはり、吸収機能は、葉より根の方が優れているという事でしょう。(ちなみに、葉面散布では、1回よりも2回、2回よりも3回と、回数多くやるほど、根も葉も、果実も収量が増えるようです。葉面散布の効果は短期的で、かつ蓄積的ということでしょう。)

ですから、海藻液肥の潅水にも、利用価値があるという事は、ご理解いただけたかと思います。ただし、実際の土壌では、海藻は微生物にとって非常に良いエサですから、ある程度濃度を高めてやらなければ、すぐに微生物に食べられてしまう事になり、植物が吸収する量が少なくなってしまうことが考えられます。(もちろん、その分微生物は活性化しますね。)そういう意味では、効果はあるけれど、コストのかかる方法という事になります。

海王は、葉面散布では5,000~10,000倍希釈をお勧めしていますが、潅水ではさらに濃く1,000~5,000倍程度が良いのかもしれません。

海藻液肥の使い方

さて、では実際に海藻液肥の使い方について検討してみます。栄養生長から生殖生長へのステージの移り変わりが分かりやすいため、果樹(カンキツ)を例に、その使用する時期を検討してみたいと思います。トマトやピーマン、キュウリなどでも、基本的には、同じように考えていただいたらよいと思います。

①新葉展開期

植物栽培では、良い葉を作るのが、最も重要かつ最初の仕事です。もちろん、土壌環境や気象条件が良ければ、素直に良い葉が出てくるものですが、さらに良い葉を作りたい、または悪天候・悪条件でも、しっかりと良い葉を展開させたいときには、海藻液肥の出番です。
先述の通り、濃度は薄くても良いので、新芽が展開する前から、緑化が完了するまでの間、回数をできるだけ多く散布するのがコツです。この時、さらに勢いの良い新梢や葉を作りたい場合は、尿素と、微量要素のマジ鉄を混用すると良いでしょう。

施用例:海王7,000倍、尿素500倍、マジ鉄8,000倍 1~2回

②花芽形成~第一次生理落果期

カンキツの場合は、つぼみが膨らみ始める時期から、子房の肥大と「じょうのう」が作られ始めます。このころの猛烈な細胞分裂を後押ししてあげることが、後の果実品質を大きく左右することになります。花や果実を愛おしむように、やさしく葉面散布をすると良いでしょう。①と同様に、濃度は薄く、しかし回数が多い方がより良いです。尿素やマジ鉄の混用もお勧めですが、これも濃度は薄い方が良いでしょう。コーソゴールドもお勧めの時期です。また、日照不足がある年では、葉の緑化が遅れ、それが後の光合成不足を招きます。雨天、曇天が多い年は、苦土(硫酸苦土、または本格にがり)の活用も良いと思います。

施用例:海王7,000倍、コーソゴールド500倍、尿素800倍、マジ鉄10,000倍 1~2回

③第二次生理落果期~肥大期

炭水化物を非常に多く要求する時期です。アミノ酸やカルシウムも大変重要な働きをする時期です。海王のほか、特濃糖力アップやマジカル(イーオスや木酢液もOK)など活用して、有機物や炭水化物を少しでも吸収させると良いでしょう。ただし、尿素などの無機窒素はいったん、休止したほうが果実品質にとっては良いと思います。もちろん、樹勢が弱い圃場や品種などでは、尿素を使っても構いません。

施用例:海王5,000倍、コーソゴールド500倍、特濃糖力アップ800倍、マジカル1,000倍 1~2回

④収穫後、樹勢回復

収穫後の樹勢回復には、土壌への潅水が最も効果的です。窒素、リン酸、カリの液肥と合わせて、海藻液肥を混用すると良いです。また、地温が12℃を下回ると、根からの吸収は非常に悪くなりますから、寒くなったのちは葉面散布を中心に行い、樹勢回復を図ります。葉が立ち、厚みが増すまでやりましょう。葉が黄色くなっている場合は、窒素、苦土、カリを中心に意識します。葉の炭水化物量が増すことにより、厳冬期の落葉防止と耐寒性の向上となります。また、次の花芽分化のため、生殖生長モードを維持したまま樹勢を回復させるため、適度な窒素量を意識しつつ、海藻液肥の濃度は高めです。置き肥え(固形肥料)による窒素施用量は多すぎないように注意してください。

施用例:(潅水)菌力アップ5L、糖力アップ10L、コーソゴールド3kg、海王100g(10aあたり) 1~2回 
(葉面散布)海王5,000倍、尿素500倍、コーソゴールド500倍 1~2回

上記の施用例、考え方は、他の果樹であるリンゴ、ブドウ、ナシ、モモ、カキ、キウイ、マンゴーなどにもそのまま応用できます。

またトマトやキュウリなどの果菜類は、栄養生長期に①、収穫期は③を基準に考えたらよいと思います。

ぜひお試しいただき、皆さんの収穫の喜びがより一層、増えますことを楽しみにしております。