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硝酸トーク第4回 『硝酸とエグ味の関係は?』

硝酸が多いと、野菜のエグ味が増える?

硝酸が多いと、野菜のエグ味が増えると言われますね。これは、本当なのでしょうか??

ほうれん草畑

たとえば、エグミのある野菜としては、ホウレンソウが代表ですね。ホウレンソウには、シュウ酸というエグミ成分が多く、これは窒素肥料が多い時、とくに硝酸が多い時に、シュウ酸も増えると言われています。

これは、青菜やトマトや里芋など、エグミのある作物でも同じことが言われます。

そういう意味で、エグミの少ないホウレンソウを作るなら、有機栽培で作るのが良いと言う人もいます。

私も、以前は「硝酸」と「シュウ酸」の違いがよくわからず、語呂が似ているから、まあそうかな、と考えていました。今考えると、語呂が似ているだけで、何の根拠もありませんでした。(笑)

硝酸とシュウ酸(エグ味)は、相関していない。

この件についてよく調べてみると、実は(私が知る限り)、硝酸が直接的に、シュウ酸を増やしているということは、確認されていないようです。むしろ、調べれば調べるほど、それは疑わしい、と思うようになってきました。

たとえば、下記の神奈川県農林技術センターのサイトには、面白いことが書いてあります。

「ホウレンソウ(Spinacia oleracea) における硝酸塩・シュウ酸塩濃度の品種間差異評価およびその要因解析」要旨https://www.pref.kanagawa.jp/.../cnt/f450010/p581381.html#

そこには、このような記載があります。

同一の窒素施肥量でホウレンソウ182品種を栽培したところ、硝酸塩濃度は作期を通じて基本的に一定だが、シュウ酸塩濃度は作期によって大きく変動する

あれ、硝酸とシュウ酸は、連動するんじゃなかったっけ??

上の文をよく読むと、『そうではない』ことがよくわかります。

そして、このような記載もあります。

硝酸塩濃度は栽培日数、有効積算温度、積算日射量、クロロフィル含有量に負の相関関係を、葉柄葉身比には正の相関関係を示し、シュウ酸塩濃度は逆の相関関係を示した

この文章、分かりやすく言うと、「栽培期間や光合成の量が増えると硝酸は減って、シュウ酸が増えるみたい。」ということが、書いてあります。

一方で様々な文献、資料を読むと、確かに、ホウレンソウのエグミは、硝酸態窒素よりも、アンモニア態窒素や有機態窒素(有機肥料)で育てた方が少なくなる傾向があり、だから、有機栽培の方が美味しい、という傾向も確かにあるようです。

なんとなく矛盾する話のように感じてしまうと思いますが、よく考えるとこれはすっきり筋の通った話だと思います。

えぐ味の元=シュウ酸は、成熟とともに蓄積していた

つまり、先ほどの研究成果から考察すると、シュウ酸が増える直接の原因は、窒素量や窒素の形態(硝酸か、アンモニアか、有機か)ではなく、栽培日数や積算日射量が一番影響しているという事のようなのです。

「栽培日数や積算日射量が多くなると、シュウ酸が増える」というのは、つまり成熟・老化に伴い、シュウ酸が蓄積される、ということを意味しているようです。

事実、同じ個体でも、上位葉(新葉)より、下位葉の方が、エグミが強いようです。

ホウレンソウは、好硝酸植物ですから、アンモニア態窒素や有機肥料で育てる方が、生長は遅くなります。つまり、生長が遅いので老化が遅い、ともいえます。

同じ日数で育てるなら、アンモニア肥料や有機肥料で育てることが、エグミの少ない野菜ができる、というのは、そう考えると納得できます。

※追記
ホウレンソウは、酸性で溶出しやすいアルミニウム毒性に感受性が高いため、酸性で育ちにくく、中性〜微アルカリ性で良く育つとされています。ホウレンソウの原産地では、石灰質の土壌であったため、根から入ってきてしまう過剰なカルシウムを中和し、無害化するためにシュウ酸を生成するよう進化したようです。液胞中には、シュウ酸カリウムやシュウ酸ナトリウムとして、シュウ酸を準備していて、これが食べたときにエグミの元となります。ちなみにシュウ酸は、尿素結石などの原因となるので、エグミのある野菜を食べるときは、カルシウムを含む食材と調理して摂取すると、美味しく食べられ、結石のリスクを低下することができます。