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微生物談義第9回 バチルス菌は、ひとりで働かない。

バチルス菌は傍若無人な肉食怪獣、、、なのか!

いよいよバチルス菌談義のクライマックスです。

これまで、抗生物質・抗菌物質を出して、誰よりも先にエサを溶かして食べ、繁殖力旺盛なバチルス菌。それはまるで、傍若無人にふるまう肉食怪獣ですが、意外にも糸状菌とうまく共生しているという側面をお伝えしました。

バチルス菌が他の微生物と共生する事実は、まだあります。

バチルス菌と窒素固定菌です。窒素固定とは、空気中の窒素を、アンモニアに変換することを言いますが、このような働きを持っている微生物が窒素固定菌です。

面白いのは、窒素固定菌の代表である、アゾトバクターや光合成細菌は、それ単体で培養するよりも、バチルス菌と共培養(一緒に培養)するほうが、よく繁殖し、窒素固定能力が高まることです。

つまり、共生関係を築き、互いに自分では作れない栄養をやり取りしていることが、相互の繁栄を築いているのです。これは、土壌の中ではとても自然なことなのです。

すでにお察しの通り、バチルス菌を敵視することも、またバチルス菌だけをもてはやすことも、どうも違うようだということを、感じ始めて来たと思います。

重要なことは、現実には「バチルス菌だけ」では、あまり良い働きをしないという事です。もちろん、バチルス菌を含んでいる微生物農薬もあり、これらはきちんと病原菌を抑制したりする仕事をします。しかし、しかしです。それはあくまでも、一つの目的にフォーカスしているに過ぎません。植物が健康に生育する、という大変広く、多面的な目的に対応するには、バチルス菌にできる仕事は限定的です。

非常に能力の高い一人怪獣に見えるバチルス菌も、やはり糸状菌や放線菌、酵母や硝化菌、窒素固定菌、その他の多くの微生物と共生し、バランスをとることによって、良い働きをするという事ですね。

このような視点が、きっと皆さんの農業を変えるきっかけになるものと思います。

菌力アップにひっそりと含まれるバチルス菌たち

最後に、菌力アップに含まれているバチルス菌についてお話します。

実は、菌力アップには、11種のバチルス菌の仲間を配合しています。それは、あくまでも放線菌や窒素固定菌、その他の有用微生物の活動を邪魔しない種、および数のバチルス菌に限って入れてあります。ひっそりと、密やかに。バチルス菌だけが大暴れするような設計にはしていないのです。植物の土壌環境を作るのに有用な「多種多様な微生物」が「バランスよく」というのが、菌力アップの基本コンセプトなのです

菌力アップに含まれているバチルス菌は、主には、乳酸菌のラクトバチルス、そしてPGPRとして有名なパニエバシラス菌線虫(センチュウ)の天敵といわれるパスツーリア菌などです。

詳しくは、「菌力アップ」のよくあるご質問の「菌力アップは何種類の菌を含んでいますか?」をご覧ください。
https://sunbiotic.com/faq/category/products-kinryoku-up

枯草菌(バチルス・サブチリス、納豆菌)は、入っていないのか?と思われる方もいらっしゃると思いますが、これは菌力アップに配合していません。

その理由は、枯草菌は、あまりに繁殖力が強すぎて、他の微生物の繁殖を抑えるため、製品として理想的な微生物のバランスを崩してしまうこと。また、枯草菌はもともとかなり田畑に生息していること。さらに、枯草菌(納豆菌)の培養液には、植物の発根を抑制する、停止することがあるからです。(高濃度施用の場合。)

上記の理由で、菌力アップには、枯草菌(納豆菌)を採用しませんでした。

ですから、やみくもに、枯草菌(納豆菌)を培養して植物の株元に直接、高濃度で施用することは、私は、あまりお勧めしていません。培養が簡単なだけに、要注意です。やるならば、かなり低濃度に希釈して施用するほうが良いと思います。または、葉面散布に使用するのであれば、枯草菌(納豆菌)のメリットが生かせるのではないでしょうか。

バチルス菌の多様な側面のおかげで、かなり話題が多く、長い長い話となってしまいました。皆さんの質と量と多様性豊かな微生物相の構築、土づくりのお役に立てれば幸いです。

また機会があれば、他の微生物などについてもご紹介できたらな、と思いますが、とりあえずこれで微生物談義、ひと段落と言うことで!

ご質問やリクエストがありましたら、お気軽にどうぞ。

では、これにて!笑